臨床血液
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5 (EL-61)
ゲノム編集の基礎と応用
山本 卓坂本 尚昭
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2016 年 57 巻 10 号 p. 1869-1873

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抄録

近年,目的の遺伝子を自在改変する技術として,人工DNA切断酵素を基盤としたゲノム編集(genome editing)が注目されている。ゲノム編集は,切断された遺伝子の修復エラーを利用する技術で,これまで遺伝子改変が困難だった微生物や動植物において遺伝子の破壊や挿入が可能である。第一世代のZFNに加えて,標的配列選択の自由度が高く作製の簡便なTALENが2010年に開発され,様々なモデル生物と培養細胞での遺伝子破壊が報告されている。さらに2012年に,第三世代のゲノム編集技術としてCRISPR-Cas9が発表され,その簡便かつ効率の高さに多くの研究者が驚かされた。実際,この3年間でCRISPR-Cas9は誰もが使える技術となり,生命科学研究の進め方を大きく変えている。本稿では,CRISPR-Cas9を中心とするゲノム編集技術研究の研究動向を紹介し,医学分野での可能性について議論する。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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