2016 年 57 巻 10 号 p. 1874-1880
われわれの体内は多くの水分を含み,それら水分は血液や髄液,尿,唾液など細胞外に体液として存在している。この体液中には100 nmの膜小胞エクソソームが含まれており,エクソソームは由来する細胞の状態を反映して分泌されている。従って,がん細胞が分泌するエクソソームにはがん特異的な分子が内包されており,バイオマーカーとして利用が期待されている。しかし,エクソソームのサイズが小さすぎることや夾雑物を多く含む体液からのエクソソーム回収作業の制限などがバイオマーカー開発への障壁となっている。本稿では,新たなエクソソーム検出法の開発やがん細胞に由来する体液中のエクソソームを利用した診断法について概説する。