臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
特集:同種造血細胞移植合併症への対策 ―最近の進歩―
GVHDに対する間葉系幹細胞治療
名島 悠峰
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 58 巻 12 号 p. 2440-2449

詳細
抄録

ステロイド抵抗性の移植片対宿主病(GVHD)は依然として極めて予後不良であり,造血幹細胞移植の大きな障壁の一つである。間葉系幹細胞(MSC)は,制御性T細胞の分化促進などの免疫調節作用を有し,ほかの強力な免疫抑制剤とは異なる機序でGVHDへの有効性が期待される。2004年の最初の症例報告以降,ステロイド抵抗性GVHDに対するMSCの有望な結果が多数報告され,本邦でも主要な二つの治験結果に基づき,2015年9月に初の細胞製剤(TEMCELL®)として認可された。現在一部の施設で投与可能となり,全例登録の市販後調査が進められている。非常に高額であるが期待は大きく,実臨床では治験の条件と異なる様々な状況で投与されており,結果を踏まえた適正使用へのガイドライン整備が切望される。また,近年慢性GVHDの治療やGVHD予防にも有効性が報告されている。本稿ではGVHDに対するMSC投与について概説する。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top