臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2017 (骨髄系疾患)―
急性骨髄性白血病の診断と治療
小林 幸夫
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 58 巻 4 号 p. 364-372

詳細
抄録

急性骨髄性白血病は病態の理解が急速に進んでいる。治療関連の白血病では,抗がん剤投与前のゲノム異常がわかり,急性骨髄性白血病の発症の原因がすでに抗がん剤治療前から存在することがわかった。完全寛解とされる状態でもゲノム異常は残存しており,必ずしも,「完全」ではない状態で再発しない状態であることが明らかになった。これらの病態は,いずれも微少な腫瘍細胞数では,急性骨髄性白血病にはならないことを示しており,clonal hematopoiesis of indeterminate potentialの概念につながっている。治療薬に関しては,第3相試験で従来の標準療法に上乗せ効果のあるmidostaurinが開発され,また,ミセル化されたcytarabineとdaunorubicinの合剤は,標準療法を越えた。さらに,あらたな分子標的を阻害する複数の薬剤が早期相の試験に入っている。Smo,NEDD8 activating enzyme,クロマチン修飾の阻害剤を取り上げた。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top