臨床血液
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症例報告
Rituximabが有効であったHLA半合致移植後の脊髄長大病変を伴う再発性急性散在性脳脊髄炎
幕内 陽介西本 光孝山本 圭一高橋 利幸久野 雅智中嶋 康博康 秀男中根 孝彦日野 雅之中前 博久
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2018 年 59 巻 12 号 p. 2588-2593

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抄録

同種造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)に起因する中枢神経疾患は稀であり,その病態や治療法には不明な点が多い。我々は急性混合性白血病に対して移植後大量シクロフォスファミドを用いたHLA半合致同種末梢血幹細胞移植を行い,慢性GVHDに起因した脊髄長大病変を伴う再発性の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis, ADEM)を合併した1症例を経験した。ステロイド治療に抵抗性を認めたがrituximabの投与が有効であった。我々が知る限り,脊髄長大病変というADEMにおいては非典型的な病変形成に慢性GVHDが寄与し,またこの病態に対してrituximabが有効であった報告は他にない。同種造血細胞移植後の慢性GVHD患者に生じた神経症状の鑑別としてADEMの可能性を考慮するべきと考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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