臨床血液
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臨床研究
ニロチニブ治療中に合併した血管性有害事象の特徴と末梢動脈疾患のリスク因子としての意義
住 昌彦佐藤 慶二朗植松 望武川口 弘子宍戸 努貝梅 紘子武田 航桐原 健彦植木 俊充廣島 由紀上野 真由美市川 直明浦澤 延幸小林 光
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2018 年 59 巻 2 号 p. 137-144

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抄録

当院でニロチニブを投与された19例(年齢中央値65歳,観察期間中央値55ヶ月)の,血管性有害事象(vascular adverse events, VAEs)の発生状況を検討した。VAEsは,8例(末梢動脈疾患6例,脳梗塞3例,冠動脈疾患4例)でニロチニブ開始から中央値46.5ヶ月で合併し,4年累積合併率23.5%であった。末梢動脈疾患は6例全例が無症候期に足関節上腕血圧比で診断され,4例が他のVAEs(脳梗塞1例,冠動脈疾患2例,脳梗塞と冠動脈疾患1例)も合併した。冠動脈疾患合併4例中2例で無症候性末梢動脈疾患が先行していた。一般の動脈硬化性疾患診療では,末梢動脈疾患は症候の有無にかかわらず,心血管イベントの重要なリスク因子と認識されている。ニロチニブ関連VAEsでも,末梢動脈疾患は他の重篤なVAEs合併のリスク因子であり,足関節上腕血圧比を検査し無症候期に診断することが重要と考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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