2019 年 60 巻 1 号 p. 28-32
症例は維持透析中に大動脈弁狭窄症と血小板減少が指摘された66歳の男性。鎖骨下動脈閉塞の既往のためワーファリンによる抗凝固療法も併用していた。紹介時,WBC 5,200/µl,Hb 13.5 g/dl,Plt 6.8万/µl。出血傾向は認めなかった。骨髄穿刺では異形成のない巨核球数の増加を認め特発性血小板減少性紫斑病と診断した。大動脈弁狭窄症は手術適応であり術前後の血小板数コントロールが必要と考えられた。少量ロミプロスチム投与を術前2ヶ月前から開始。速やかに血小板数は増加し,術前後の出血・血栓イベントなく大動脈弁置換術を施行した。維持透析患者に対するロミプロスチムの使用報告は少なく,且つ出血リスクの高い術前後のマネージメントには注意を要する。文献的考察と共に報告する。