臨床血液
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症例報告
初回寛解から4年後に再燃した後天性凝固第V因子インヒビター
明石 直樹小川 孔幸柳澤 邦雄大崎 洋平清水 啓明石埼 卓馬井上 まどか村上 正巳惣宇利 正善一瀬 白帝半田 寛
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2019 年 60 巻 1 号 p. 46-50

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抄録

凝固第V因子(FV)に対する自己抗体が生じることにより発症する後天性FVインヒビター(AFV-I)は,症例により無症状から致死的出血症状まで様々な臨床症状を呈する。我々は初回寛解から4年後に2度の再発を来したAFV-I症例を経験した。症例は66歳の男性。X−4年3月にAFV-Iと診断され,prednisolone(PSL)50 mg/日で寛解し,PSL 2.5 mg隔日内服で長期寛解を維持していた。また,陳旧性心筋梗塞で抗血小板剤2剤治療(DAPT)を行っていた。当科転医後のX年5月にFV活性が著減(3.4%)し,FVインヒビターを検出(1.0 BU/ml)したため,AFV-I再発と診断した。約2ヶ月経過を観察したが,自然軽快しなかった。軽微な出血症状のみであったが,DAPT実施中で出血リスクが高いと判断し,6月中旬にPSL 40 mg/日に治療強化した。速やかに寛解を達成し,PSLを漸減したところ,X+1年1月にFV活性が再度低下した。2月には皮下出血が出現したため,2回目の再発と診断し,PSLを増量して再寛解に至った。再発性AFV-Iの報告は少なく,2度の再発を来した症例はない。本報告はAFV-I症例の長期管理を検討する上で有用と考える。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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