臨床血液
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症例報告
Ibrutinib単剤療法が奏効したリヒター症候群
藤浪 春菜楠本 茂正木 彩子大島 佳子立田 卓登佐々木 宏和丸茂 義晃吉田 嵩成田 朋子伊藤 旭李 政樹小松 弘和稲垣 宏飯田 真介
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2019 年 60 巻 10 号 p. 1462-1467

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抄録

リヒター症候群(Richter syndrome, RS)は,慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫症例において,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)またはホジキンリンパ腫と病理組織学的に診断される。RSに対する標準治療は確立しておらず,一般には転化後の組織病型に準じた治療が施行される。CLLへのibrutinib(IBR)単剤療法の有効性が示されているが,RSに関するエビデンスは限られている。我々は,G分染法/SKY(spectral karyotyping)法によりde novoではなくCLLからDLBCLへ転化したと考えられたRSの2例を経験した。IBR単剤治療により,それぞれ12ヶ月間,10ヶ月間にわたり病勢安定となり,RSへの有用性が示唆された。有害事象として,1例でウイルス性出血性膀胱炎がみられたが420 mg/日から280 mg/日へ減量し継続可能であった。また,IBR治療後に再燃した2症例に対して,救援化学療法後にIBR再投与し,それぞれ5.5ヶ月,2ヶ月の病勢安定を得られ,IBR再治療の有用性が示唆された。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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