2019 年 60 巻 4 号 p. 296-301
症例は,51歳男性。急性骨髄性白血病再発のため,同種骨髄移植を施行された。移植後6ヶ月に足背浮腫と少量の胸水・心嚢水を認め,屯用の利尿剤内服で改善していた。移植後8ヶ月に,貧血に対して赤血球輸血を行い,輸血80分後に肺胞出血を伴う急性呼吸不全となり気管内挿管後人工呼吸器管理となった。急激な肺うっ血像と左室収縮能低下を認めたためtransfusion associated circulatory overload(TACO)と診断された。十分な利尿剤投与による心負荷の軽減で3日後には人工呼吸管理を離脱した。肺胞出血の原因は,他疾患は否定的で心不全治療のみで改善した経過から,急性の肺うっ血に伴う血管の破綻が考えられた。造血器腫瘍患者では,化学療法や長期の貧血による心不全発症のリスクが高い。心拡大や浮腫・胸水などの体液貯留がある場合には,心不全の可能性を念頭におき,輸血前後の水分管理を行う必要がある。