2019 年 60 巻 8 号 p. 903-909
症例は78歳男性。Hb 9.6 g/dlの貧血およびIgM 3,577 mg/dlと異常値を認め当科受診。初診時の骨髄穿刺はdry tapであり,骨髄生検はCD20陽性リンパ形質細胞の増生が確認され,Waldenströmマクログロブリン血症と診断した。同時に骨髄線維化を呈し,血漿TGF-βの上昇が認められた。BR療法(bendamustine+rituximab併用化学療法)4コース施行し完全寛解を達成した。同時に骨髄線維化の改善を認め,血漿TGF-βの正常化を確認した。MYD88 L265P変異はダイレクトシークエンス法では同定できなかったが,高感度デジタルPCR法による解析によって変異を確認した。骨髄線維症を合併し検体中に十分な腫瘍量が得られない場合でも,高感度デジタルPCR法を用いることによりMYD88 L265P変異の検出が可能であることが示された。