2019 年 60 巻 8 号 p. 968-972
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は難治性の血液悪性疾患の一つである。化学療法では長期的な予後は不良であり,同種造血幹細胞移植も移植適応年齢においては標準的に勧められる。しかし,ATLは化学療法に抵抗性であることも多い。化学療法抵抗性の状態でも同種移植が検討されるが,その予後は不良である。そのような場合の選択肢としてモガムリズマブが挙げられる。モガムリズマブは再発・難治性のATLにおいて一定の奏効率を期待できる重要な薬剤の一つである。しかし,モガムリズマブは制御性T細胞を除去する効果があることから,同種移植前に使用した場合にGVHDなどの合併症を増加させる可能性がある。本論文においては同種移植前のモガムリズマブに関する報告について我々の研究結果を中心に概説する。