臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
臨床研究
Ph陽性ALLに対する同種造血幹細胞移植後のTKIによる維持療法
内田 智之土岐 典子岸田 侑也永田 啓人山田 裕太小西 達矢海渡 智史黒澤 修兵吉藤 康太白根 脩一稲本 恭子遠矢 嵩五十嵐 愛子名島 悠峰武藤 秀治小林 武垣花 和彦坂巻 壽大橋 一輝
著者情報
ジャーナル 認証あり

2020 年 61 巻 1 号 p. 11-19

詳細
抄録

Ph陽性急性リンパ性白血病の予後を改善するため,同種造血幹細胞移植後にチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を投与する報告が近年なされているが,投与が望ましい患者や投与方法など一定の見解は得られていない。今回,単一施設での移植後TKI投与について後方視的に解析を行った。予防的投与(pro)は8例,先制的投与(pre)は6例であった。観察期間中央値はpro 1,427(161~2,428)日,pre 773.5(156~2,243)日であった。Proでは非寛解期で移植が行われた1例が再発した。Preの4例はTKI投与のみで微小残存病変(MRD)陰性となった。2年全生存率はpro 85.7%,pre 100%であった。本解析では既報よりも低用量のTKI投与を行ったが,安全で有効である可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top