臨床血液
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症例報告
外耳道顆粒球肉腫を契機に再発と診断された急性前骨髄球性白血病
一色 雄裕吉澤 有紀飯村 百萌福田 匡芳鈴木 幸恵佐藤 祐二長澤 俊郎
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2020 年 61 巻 11 号 p. 1590-1594

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抄録

症例は47歳男性。汎血球減少と左前腕腫脹を契機に急性前骨髄球性白血病(APL)と診断し,all trans retinoic acid(ATRA)を用いた寛解導入療法により完全寛解となり,地固め療法を完遂した。治療後3ヶ月頃より左耳閉感が出現し,左外耳道に腫瘤性病変を認めた。当初は炎症細胞浸潤を認めるのみであったが,さらに3ヶ月後の再生検にてMPO陽性,CD68陽性の顆粒球浸潤を認め,PML/RARα 4.9×105 copies/µgRNAであったことからAPLの局所再発と診断した。その2週間後の骨髄検査にて骨髄芽球および前骨髄球の増加を認め,骨髄再発と診断した。ATRAとarsenic trioxideを用いた再寛解導入療法により再度完全寛解に至り,自己末梢血幹細胞移植を施行し,現在完全寛解を維持している。本症例では外耳道病変による再発が骨髄再発に先行しており,外耳道の非特異的な白血病再発様式にも留意する必要があると考えられる。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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