臨床血液
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症例報告
下部消化管内視鏡後にListeria髄膜炎を合併したdaratumumab併用療法中の多発性骨髄腫
堀北 風花橋口 淳一永嶋 貴博
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2020 年 61 巻 11 号 p. 1611-1615

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抄録

69歳男性。汎血球減少を契機にBJP-λ型多発性骨髄腫と診断され,様々な化学療法を施行したがいずれも不耐容,効果不十分だった。その後daratumumab併用療法を開始し,stable diseaseを維持中に下血した。下部消化管内視鏡検査を施行後に発熱と意識障害を認めた。脳脊髄液検査でListeria monocytogenes髄膜炎と診断し計3週間の抗菌薬治療を行い軽快した。Listeria monocytogenesに対する免疫において活性化マクロファージが重要な役割を担っており,CD38モノクローナル抗体であるdaratumumabは骨髄腫細胞に発現するCD38に結合し抗骨髄腫効果を有するが,活性化マクロファージのCD38にも結合することで,Listeria感染のリスクを高める可能性がある。Daratumumabの使用中にはListeria感染に注意する必要がある。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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