2020 年 61 巻 11 号 p. 1616-1619
症例は64歳女性。再発濾胞性リンパ腫に対してGB療法(obinutuzumab(OBZ),bendamustine)が施行されたが,1コース目から血小板輸血を要する血小板減少症が観察された。2コース目以降はbendamustineを減量するも同様の血小板減少を繰り返した。4コース後に完全寛解を得てOBZ単剤による維持療法に移行したが,維持療法においても同様に血小板減少を認めた。OBZ投与後の血小板数の経時的変化を観察すると,OBZ投与終了1時間後には血小板数は減少し始め,6時間後に半減,投与4日後頃に最低値となり,投与10日後頃から徐々に回復した。OBZ投与に伴う血小板減少症はしばしばみられる合併症であるが,投与後24時間までに起こる急性血小板減少症は稀である。しかし,本例のように投与後きわめて短時間に血小板減少が進行する場合もあり,臨床医家においては留意して治療に取り組む必要がある。