2020 年 61 巻 5 号 p. 451-454
症例は72歳,男性。2型糖尿病加療中にdipeptidyl peptidase-4 inhibitor関連水疱性類天疱瘡を発症し,prednisolone(PSL)0.5 mg/kgにて治療が開始となった。3ヶ月後,PSL 19 mg/日投与中,両側前腕に紫斑が出現,APTTの延長と第VIII因子インヒビターが高値であったため後天性血友病Aと診断した。PSL 1.0 mg/kgにて治療導入しcyclophosphamide 300 mg/週も追加したが無効であった。経過中に肺炎の合併も認めたため,rituximab(RTX)を開始したところ,第VIII因子インヒビター力価は低下した。部分寛解を得たと同時にPSLの減量が可能となり,肺炎および天疱瘡も改善した。後天性血友病Aの死因では免疫抑制療法に伴う感染症が重要であるが,RTXは感染合併例に対しても安全性の高い有効な治療と考えられた。