臨床血液
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症例報告
経過中にcolony-stimulating factor 3 receptor遺伝子変異が出現した骨髄増殖性腫瘍-分類不能型
原田 晋平岡田 耕平横山 翔大日高 大輔早瀬 英子小野澤 真弘後藤 秀樹橋本 大吾加畑 馨遠藤 知之豊嶋 崇徳
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2021 年 62 巻 11 号 p. 1609-1614

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抄録

症例は25歳男性で,ストレス多血症として前医通院していた。2016年1月に白血球増多と貧血,血小板減少が出現し,骨髄穿刺では異形成のない顆粒球系細胞の増多,少数の芽球を認めた。染色体異常無く,BCR-ABLFIP1L1-PDGFRAJAK2 V617F,colony-stimulating factor 3 receptor遺伝子(CSF3R)変異を認めず,骨髄増殖性腫瘍-分類不能型の診断としてhydroxyureaが導入された。輸血依存のため2016年4月に当科紹介となり,その際の骨髄穿刺で顆粒球系細胞の異形成が認められ,CSF3R T618Iが検出された。寛解導入療法後に同変異は消失し2016年10月に同種移植を実施した。移植後4年時点で再発なく生存している。CSF3Rは慢性好中球性白血病や非定型慢性骨髄性白血病の責任遺伝子の一つとされ,本症例でも病態形成への関与が示唆された。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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