2021 年 62 巻 2 号 p. 79-84
症例は67歳の男性。健康診断で実施した上部消化管内視鏡検査で胃粘膜下腫瘍を指摘され,末梢性T細胞性リンパ腫と診断された。CHOP療法6コースで完全寛解に至るも最終投与から4ヶ月で胃病変の再発を来した。外科的胃切除術とD2領域のリンパ節郭清術ののちEPOCH療法を3コース実施し再度完全寛解に至り,以後2年間の無増悪生存を得ている。胃原発T細胞性リンパ腫では,初発時において外科的胃切除術が有効であった症例報告が散見されるが,本例は化学療法後の早期再発例に対し可視病変を完全切除し術後化学療法併用により,2年間の無増悪生存を得ることが出来た稀な症例であると思われ,文献的考察を加えて報告する。