臨床血液
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41 (EL-41)
COVID-19関連凝固異常
森下 英理子
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2021 年 62 巻 8 号 p. 1236-1246

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抄録

COVID-19では血液凝固異常を合併する頻度が高く,血栓症が多発することが知られている。そしてそのメカニズムは複雑であり,低活動性・無動化といった物理的要因に加えて,炎症による血液凝固の活性化,血管内皮障害の関与が大きい。血栓症はpulmonary thromboemobolism,deep vein thrombosisのほかに,動脈血栓症も発症し,さらには肺胞毛細血管内微小血栓も認める。COVID-19の病態の悪化には血栓症が関わる可能性があるため,中等症ならびに重症患者では予防的抗凝固療法は必須である。予防的な抗凝固療法を実施しても肺塞栓症の発生頻度は依然として高いことより,根底にある炎症の制御と血管内皮保護を今後抗凝固療法に併用する必要があるだろう。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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