2021 年 62 巻 9 号 p. 1393-1399
77歳,男性。混合形質型急性白血病の完全寛解達成6ヶ月後にB細胞性リンパ芽球性白血病として再発した。Inotuzumab ozogamicin(InO)2コース施行して末梢血芽球は消失し,骨髄中芽球は5%未満に減少したが,胸水中に芽球68.0%が残存した。Blinatumomab(Blina)へ変更したところ,1コース施行中に胸水中の芽球は消失した。胸水flow cytometryではCD3陽性T細胞集団を認め,Blinaが胸水へ移行し抗腫瘍効果を発揮した可能性が示唆された。近年再発B細胞性リンパ芽球性白血病に対する新規薬剤が登場しているが,これらの組織移行性を検討した報告は少なく,同様の症例に対する治療を考察する上で貴重な症例と考えられる。