臨床血液
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症例報告
Human T-cell leukemia virus type-Iキャリアに発症したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と末梢性T細胞リンパ腫・非特異型のdiscordant lymphoma
住谷 智恵子籠尾 壽哉横山 明弘矢野 尊啓上野 博則
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2021 年 62 巻 9 号 p. 1400-1405

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抄録

69歳男性。2011年10月に右扁桃腫瘍を発症し,扁桃生検でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断された。Epstein-Barr virus-encoded small nuclear RNA(EBER)は陰性であった。このときにhuman T-cell leukemia virus type-I(HTLV-1)キャリアであることも判明した。R-CHOP 6コースを施行されて完全寛解となった。2015年2月に発熱とlactate dehydrogenase(LDH)の著増があり,PET-CTで左肺門部リンパ節腫大と多発性骨病変を認め,骨髄検査でCD4陽性のT細胞腫瘍を認めた。Adult T-cell leukemia/lymphomaと考えてmodified-LSG15療法による治療を開始し,速やかに症状の改善とLDHの低下を認めた。治療開始後にHTLV-1プロウイルスDNA組み込みの陰性が判明し,最終的に末梢性T細胞リンパ腫・非特異型(PTCL-NOS)の診断となった。患者が治療中止を希望したため2コース目途中で終了したが,PTCL-NOSは完全寛解となり,その後28ヶ月再発なく経過している。HTLV-1キャリアに発症したDLBCLとPTCL-NOSのdiscordant lymphomaはこれまでに報告がなく,貴重な症例と考えて文献的考察を加えて報告する。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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