2022 年 63 巻 7 号 p. 776-781
急性骨髄性白血病(AML)に対して骨髄系抗原を標的とした多種類のCAR-T細胞が海外で開発されているが,十分な臨床成果は得られていない。若年性骨髄単球性白血病(JMML)を対象とするCAR-T細胞は開発に至っていない。JMMLの100%,AMLの63~83%がGM-CSF受容体(GMR,CD116/CD131複合体)を発現している。著者らはpiggyBacシステムを用いてGMRを標的とするリガンド型CAR-T細胞を開発した。さらに,CARの抗原結合領域の親和性とスペーサーの長さを最適化した。E21K変異GM-CSFとG4Sスペーサーを有するGMR CAR-T細胞は,ヒトAML化マウスに対してきわめて良好な抗腫瘍効果を示した。一方,正常血球における毒性は単球に限定されていた。この有望な結果を踏まえて,2021年にCD116陽性AML患者およびJMML患者に対するヒト初回投与試験を開始した。