臨床血液
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症例報告
ステロイド抵抗性腸管急性移植片対宿主病にvedolizumabとruxolitinibを使用した治療関連小児急性骨髄性白血病
永澤 俊山田 愛木下 真理子上村 幸代田中 弘之西川 拓朗岡本 康裕盛武 浩
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2023 年 64 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

症例は12歳時に治療関連骨髄異形成症候群と診断した女児。神経芽腫の治療後にモノソミー7を伴う治療関連骨髄異形成症候群からフィラデルフィア染色体陽性急性骨髄性白血病へ進展し,HLAアリル7/8座一致(HLA-DR1アリル不一致)非血縁者間同種骨髄移植を施行した。Day 49より腸管急性移植片対宿主病(acute graft-versus-host disease,aGVHD)を発症し,prednisolone,腸溶性budesonide,ヒト骨髄由来間葉系幹細胞を投与したが症状は改善しなかった。Day 100にvedolizumabを開始し,重篤な有害事象なく腸管症状をStage 3から1まで改善させ,治療量のprednisoloneを漸減終了できた。しかし,腸管症状がStage 3まで再増悪し,aGVHDの寛解にはruxolitinibの追加投与を要した。Vedolizumabは腸管特異的な作用を有するため全身への免疫抑制作用が少ない。腸管単独のステロイド抵抗性aGVHDにおいては,ほかの全身免疫抑制剤に先行したvedolizumabの投与が効果的と考えられる。本邦における小児のステロイド抵抗性腸管aGVHDへのvedolizumabやruxolitinibの使用例は少なく,有効性については今後の検証が望まれる。

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© 2023 一般社団法人 日本血液学会
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