臨床血液
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症例報告
BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種後に発症した後天性血友病A
千田 郁実西東 秀晃草壁 信輔吉田 好機柴田 久美紀田 修平戸田 淳日野 彬央上田 智朗藤田 二郎福島 健太郎横田 貴史柏木 浩和保仙 直毅
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2023 年 64 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

後天性血友病Aは,悪性腫瘍や膠原病等を契機として第VIII凝固因子に対するインヒビターが出現し,第VIII因子活性が低下する結果,出血症状を呈する稀な疾患である。今回我々はCOVID-19 mRNAワクチン接種後に後天性血友病Aを発症した症例を経験した。症例は86歳女性。COVID-19 mRNAワクチンであるBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンの1回目接種後に四肢の紫斑が出現し,2回目接種後に四肢の紫斑が再度出現し増悪したため当院紹介された。受診時の血液検査所見ではAPTT 110秒,第VIII因子活性1%未満,第VIII因子インヒビター51.6 BUであり後天性血友病Aと診断した。Prednisolone(PSL)による治療を開始したところ凝固能的完全寛解を達成した。本症例のようにCOVID-19 mRNAワクチン接種後は後天性血友病Aを発症しうるため,出血症状の出現に注意する必要がある。

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© 2023 一般社団法人 日本血液学会
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