2023 年 64 巻 1 号 p. 54-59
61歳女性。汎血球減少と発熱性好中球減少症により発症。入院時のCT検査では肝脾腫は軽度であり,リンパ節腫大はみられなかった。骨髄検査では,広範な線維化を認めた。小型から中型で核にくびれを認めるCD3−,CD10−,CD20+,BCL-2+−,CD138+− のリンパ球の増生および一部に形質細胞を認めた。骨髄の遺伝子検査では,MYD88変異陽性,IgH再構成陽性,JAK2変異陰性,CALR変異陰性であった。リンパ形質細胞性リンパ腫の骨髄浸潤に骨髄線維化の合併と診断し,rituximab単剤投与を計4回行った。治療終了から4週間後に行った骨髄検査では,リンパ腫細胞は消失し,骨髄線維化もほぼ消失していた。またMYD88変異は陰性化した。骨髄線維化を伴うリンパ形質細胞性リンパ腫/原発性マクログロブリン血症の診断においては,骨髄線維化をきたす疾患との鑑別のために遺伝子解析が有用であると考えられた。