臨床血液
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症例報告
BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種後に発症し再投与後に増悪した後天性血友病A
反町 百花小川 孔幸松本 彬惣宇利 正善小板橋 るみ子梶田 樹矢明石 直樹内藤 千晶石川 哲也小林 宣彦宮澤 悠里一瀬 白帝半田 寛
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2023 年 64 巻 1 号 p. 60-65

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抄録

症例は86歳男性。COVID-19に対するBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン2回目接種の35日後に左下肢,左上肢の腫脹と疼痛が出現し,近医を受診した。APTT延長を認め,当科に紹介緊急入院となり,FVIII: C 1.7%,FVIII inhibitor 152.3 BU/ml,ELISA法でFVIII結合抗体を検出し,後天性血友病A(AHA)と診断した。高齢でADLも低下していたため感染リスクの懸念から,PSL 0.5 mg/kg/日で治療を開始した。入院期間中に筋肉内出血,膝関節出血などの出血事象を認めたが,都度バイパス止血製剤(rFVIIa,FVIIa/FX)による止血治療を実施し,良好な止血効果を得た。PSL治療で第69病日に凝固能的完全寛解(cCR)を達成したが,PSL漸減とともにFVIII活性が低下し,3回目のワクチン接種後に腹直筋血腫を伴うAHAの再燃を認めた。本症例は,日本人初のCOVID-19ワクチン接種後のAHA報告例で,かつ抗FVIII結合抗体の存在が証明された世界初の症例である。

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© 2023 一般社団法人 日本血液学会
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