2023 年 64 巻 1 号 p. 9-17
Ravulizumabは,発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として承認された長時間作用型補体阻害薬である。補体阻害薬未治療のPNH患者に対するALXN1210-PNH-301試験と,eculizumab投与歴のある患者に対するALXN1210-PNH-302試験において,eculizumabからravulizumabへの切り替えを経験した23例を対象に治療の選好性を評価した。PNH特異的患者選好調査票による評価では,23例中19例(82.6%)がravulizumabを選好し,eculizumabを選択した患者はなく,4例(17.4%)は「どちらでもよい」と回答した(p<0.005)。8週間毎投与のravulizumabは,2週間毎投与のeculizumabに比べて投与回数が少ないことから,予定が立てやすい,治療が受けやすい,全般的な生活の質が高い,などの理由で選好された。患者視点に基づいた両薬剤の評価は,PNH患者における治療方針の決定に役立つと考えられた。