2023 年 64 巻 10 号 p. 1298-1305
骨髄線維症(MF)は,脾腫や消耗性の全身症状によってquality of lifeを損なうだけでなく,高率に急性骨髄性白血病などに移行する予後不良の慢性骨髄増殖性腫瘍である。JAK阻害薬であるruxolitinibは,MFの全身症状を改善させ生存期間の延長をさせるが,骨髄の線維化や白血病へ進行を抑制する効果はなく根治をするには依然として同種造血幹細胞移植が必要となる。このことから現在MFに対しての多くの新規薬剤の開発が行われている。その多くはruxolitinibと併用することで治療効果の改善が示されており,特にBCL-2/BCL-XL阻害薬,bromodomain and extra-terminal domain阻害薬,human double-minute homolog 2阻害薬は骨髄の線維化を改善させる効果も示されている。本稿では現在本邦で行われている臨床試験の薬剤を中心に概説をする。