臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
ヘモグロビン円柱による尿細管障害性急性腎障害を併発した自己免疫性溶血性貧血
力武 隼平垣内 誠司高樹 郁真影林 真理冨田 弘道吉田 俊子原 重雄岩田 暢子亀崎 豊実
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 64 巻 2 号 p. 91-96

詳細
抄録

62歳男性。貧血(Hb 8.2 g/dl)で精査入院。溶血性貧血を認め,試験管法直接クームス試験を施行し陰性であった。しかし依然として自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が疑われたため,カラム法直接クームス検査,赤血球結合IgGの高感度法定量を施行し温式AIHAの確定診断を得た。また,来院時より急性腎障害(AKI)を併発しており,補液のみでは改善に乏しかったため腎生検を施行した。腎生検の結果,ヘモグロビン円柱による急性尿細管障害を認め,AIHAによる溶血が原因で発症したAKIと考えられた。AIHAの確定診断後,prednisoloneを投与し,2週間ほどで貧血と腎障害は改善を得ており,現在も改善を維持している。AIHAによる溶血が原因でAKIを生じる報告は非常に少なく,また早期のステロイド投与により腎保護に成功した貴重な症例として報告する。

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top