臨床血液
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症例報告
Carfilzomib投与中に消化管出血を伴う血栓性微小血管症を発症した多発性骨髄腫
松本 周平髙橋 宏通濱田 高志三浦 勝浩中川 優栗原 一也遠藤 聖英小池 隆飯塚 和秀入山 規良中山 智祥八田 善弘中村 英樹
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2023 年 64 巻 4 号 p. 255-259

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抄録

症例は70歳の女性。食思不振と黒色便を主訴に受診した。7年前に多発性骨髄腫と診断されたが,再発難治のため1ヶ月前よりKRd療法(carfilzomib,lenalidomide,dexamethasone)が施行されていた。来院時検査にて,破砕赤血球を伴う溶血性貧血,血小板減少,腎機能低下を認め,carfilzomibによる血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy, TMA)を疑い入院となった。Carfilzomibを中止し,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenia purpura, TTP)の可能性も考慮してステロイドパルス療法を開始した。血漿交換,血液濾過透析,絶食で臨床所見は改善した。既報ではcarfilzomibによるTMAの初発症状は,発熱や消化器症状(嘔気・嘔吐,下痢),腎機能障害(下腿浮腫,尿量減少)である。本症例は既報にない出血症状を主訴としたTMAであり,carfilzomib治療中に出血症状を呈した場合はTMAを考慮する必要があると考えられた。

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© 2023 一般社団法人 日本血液学会
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