2023 年 64 巻 8 号 p. 753-763
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)は造血幹細胞のゲノム変異を基盤に発症するクローン性造血不全であり,血球減少を主徴とする低リスクMDSと白血病への進展を特徴とする高リスクMDSに分類される。低リスクMDSでは以前から炎症や免疫活性化が病態形成に深く関与していることが報告され,近年の研究で自然免疫系を介した炎症経路活性化とそれによる細胞死亢進が疾患の一因であることが解明された。一方高リスクMDSでは腫瘍免疫抑制や免疫逃避が病態進展に深く関わっている。最近提唱されたVEXAS症候群は,造血幹前駆細胞のUBA1変異によるクローン性造血を基盤とした自己炎症性疾患であり,炎症による低リスクMDSを伴う点で大きな注目を集めている。炎症を伴うMDSに対しては免疫抑制剤が一定の治療効果を示すが,病態に応じた至適治療法の開発が期待されている。