2026 年 67 巻 5 号 p. 403-412
血友病治療の進歩により出血制御が改善し,患者の高齢化に伴って虚血性心疾患を含む血栓性疾患への対応が課題となっている。海外では血栓関連イベントは概ね5~8%と報告されてきた一方,日本では2016年の既往歴調査で0.3%と低頻度であった。しかし前向きコホートADVANCE Japanでは短期追跡でも5.5%と一定の虚血性イベントが確認され,さらにリスク予測モデル(QRISK3, Suita)と実測値の乖離も示された。本稿では実際のイベント発生時に慌てないために具体的な止血管理についても概説した。例えば,経皮的冠動脈インターベンション施行時は因子活性確保とアクセス選択を含む止血管理が要であり,抗血小板療法は短DAPT(抗血小板薬2剤)戦略の外挿可能性を踏まえつつ個別化が必要である。抗凝固薬は因子トラフや併用療法を考慮し慎重に適応判断すべきであり,多職種連携とshared decision-makingが今後の中核となる。