2026 年 67 巻 5 号 p. 435-444
多発性骨髄腫の治療は近年飛躍的に進歩している。本邦でも2006年以降,トリプルクラスと総称される抗骨髄腫薬を用いた治療が次々に導入される事で治療成績は大幅に改善した。さらに2021年からは,新たな標的抗原を用いた新規免疫療法(T細胞リダイレクト療法)であるCAR-T細胞療法,二重特異性抗体が承認され,長期の無治療生存期間を得る事を目標にした骨髄腫診療が可能となる日が間近となっている。初回治療で完治を期待できる治療法はまだ開発されていないが,様々な薬剤や併用治療の良好な治療成績が報告される中で,適切な治療シークエンスを選択し,長期の治療奏効を獲得する手法が模索されている。本稿では,再発難治症例,特にトリプルクラス治療後症例に対する治療に焦点を当て,最近の治療を概説し,現在の課題と今後の展望についても議論する。