2026 年 67 巻 6 号 p. 615-621
再発難治性多発性骨髄腫に対する治療は,B細胞成熟抗原(B-cell maturation antigen, BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T cell, CAR-T)療法および二重特異性抗体療法の登場により大きく進展した。CAR-T細胞療法は単回投与で高い完全奏効率と微小残存病変(minimal residual disease, MRD)陰性化を達成し,無治療期間の確保という新たな治療目標を現実のものとしている。一方,二重特異性抗体療法は迅速に導入可能で高い奏効率を示し,外来管理や投与間隔延長により治療負担軽減に寄与する。しかし,低ガンマグロブリン血症や感染症,抗原発現低下やT細胞疲弊による再発は依然として課題である。長期寛解維持と生活の質(quality of life, QOL)向上を両立させる治療設計が重要であり,適切なシークエンス戦略と耐性克服が求められる。