2022 年 28 巻 p. 151-156
流域規模での水温特性の支配要因を明らかにするために,前報で課題とされたRandom Forestの精度向上を図った上で,変数重要度分析と感度分析を実行し,重要な流域・河道特性の検出を試みた.その結果,熱平衡偏差と修正熱感度を説明する重要な特徴量には,全89項目の説明変数から26項目が検出され,とりわけ,熱平衡偏差は広葉樹林,新生代堆積岩,黒ボク土壌など流域の質的(地被,地質,土壌),修正熱感度は主流勾配,主流長,集水面積など流域の地形的な特徴量から説明されることが明らかになった.また,それら特徴量が2つの水温特性の応答性に及ぼす主たる要因は,河川水量(地表水)と基底流出(地下水)の量や質,河道を流下する水塊と大気との熱交換の時間に基づき解釈できることを認めた.