2022 年 28 巻 p. 265-270
北海道内の河川ではヤナギ類による河道内の樹林化に伴う河積阻害や偏流による側岸侵食等が問題視されている.本論では,水理諸量(撹乱強度,撹乱発生頻度,冠水日数)を樹林化抑制に寄与する指標と見なし,北海道内9河川23箇所の河道掘削箇所のモニタリング結果を用いて指標を分析するとともに抑制効果に関する考察を行った.その結果,各指標値の増加に伴い樹林化率(施工範囲内の樹林面積割合)の低減傾向が見られ,各指標には統計的な有意差が認められる境界が存在した.また,樹林化の進行の有無は施工後の施工後年数によらず,掘削敷高とセグメントの違いによる堆積の影響が大きかった.そのため,樹林化抑制効果の持続には,場所ごとの撹乱強度,頻度や冠水の条件の検討に加え,堆積傾向を踏まえた河道の横断形状の適切な設定が重要と分かった.