2022 年 28 巻 p. 385-390
氾濫を伴う水害によって被災地域が受ける影響を,地域人口の観点から解析する.具体的にはコーホート要因法により推定した人口を用いて,水害によって増減したと考えられる人口を算出した.また,住宅地図を用いて判別した転出家屋の空間分布と,転出家屋と浸水深の関係を整理した.その結果,特に20~30歳台といった若年層の減少が大きいことが明らかとなった.また,転出家屋の約4割が浸水深0.5m未満の地域によるものであることが明らかとなり,転出の要因は水害を原因とした家屋の損傷だけではないことが示唆された.