河川技術論文集
Online ISSN : 2436-6714
堤防法面補強土材の配合設計と現地適用実験
大熊 広樹ヘム ラムラヴ山崎 智弘
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2022 年 28 巻 p. 79-84

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抄録

近年,集中豪雨等により河川堤防が決壊する事例が散見されている.本研究では河川堤防の表法または裏法の表土を短繊維材とセメント等で原位置改良することで,裏法では越水による侵食に,表法では侵食および浸透に対する補強土となる材料開発を行っている.短繊維材は,環境面を配慮した天然の麻繊維を使用する.配合設計は,短繊維材の長さは10~20mmとし,補強土体積の0.6~0.8%を添加し靭性を発揮させる.また現地土砂の粒度分布からセメントを添加した際に余剰水が発生しない含水量を一義的に設定する.さらに表法適用時にはベントナイトの配合により浸透を抑制する効果を得る.裏法の越水実験では,越流部の水深20cmの越水を法長4mの改良地盤に24時間作用させた結果,侵食は生じなかった.また表法の侵食実験では,実測流速3.6m/sの流れを曲率の小さな曲形改良体に作用させた結果,侵食は生じなかった.さらに実規模の攪拌機能付きバックホウによる実証実験を行い,施工性を検証した.

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© 2022 土木学会
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