2023 年 29 巻 p. 227-232
夏季と冬季の河川水温の感熱特性について流域規模での支配要因を明らかにするために,感熱特性を目的変数,流域,河川,気象に関する特徴量を説明変数としてRandom Forestを構築した上で,変数重要度分析と感度分析を実行し,感熱特性を説明する重要な特徴量の検出を試みた.その結果,冬季よりも夏季と年間において検出された特徴量が類似し,熱平衡偏差については針葉樹林と降水量,修正熱感度は主流勾配に一致がみられた.これは,夏季と年間の感熱特性の値の範囲が似通っていたことが一因だと推察された.このほか,修正熱感度は流域や河道の地形的な特徴量,熱平衡偏差は地形的な特徴量に加えて流域の質的な特徴量から説明されることがわかった.また,それら特徴量が河川水温に影響を及ぼす素過程は,水塊と大気との熱交換の時間や,河川流量の多寡を介した熱容量,基底流出の量や質に基づき解釈された.