2023 年 29 巻 p. 239-244
近年,防災を目的とした河川構造物の設置や河川改修が重要な施策となっている一方で,河川環境への人為的改変は生態系が激変すると問題視されており,双方の両立が課題となっている.河川生態系を支える底生動物群集は,河床の材料や流れ等をはじめとする物理的環境に影響され,単純な河床構造は底生動物の限られた種のみを優占させ群集の多様性を失う.そこで,本研究では,単一な河床での底生動物群集の多様性の回復技術を開発する目的で,人工河床の最適な物理構造と面積を調べるため野外実験を行った.本実験の結果から,底生動物群集の分類群数を高めるのは,一辺 2.5 cm 平方, 3 mm の厚さのタイルで操作された複雑性で,人工基質は一辺 15 cm 平方のサイズであった.本実験における人工基質の条件は,河川改修と生物群集保全の両立を図る河川技術として情報提供できると示された.