2023 年 29 巻 p. 353-358
本論文は,河道内樹木の分布予測モデルを開発し,予防保全の考え方にもとづく樹木管理への活用方策を提示したものである.本研究では,庄内川を対象に,河川水辺の国勢調査で作成された植生図をもとに,侵入・拡大する樹木分布を5年間隔で予測するため,比高や冠水頻度,地形変動量等を説明変数とする統計モデルを複数構築した.モデルの予測精度はAUC=0.79程度と,現場実務に活用可能な予測性能が確認された.また河床変動解析がモデルの予測精度へ与える影響について検討するとともに,地形改変による樹木の侵入確率の将来変化を分析するなど,モデルの現場実務への適用性を示した.更に,樹木管理への活用方策として,樹木拡大による流下能力の将来影響について,その評価方法等を示した.