2024 年 30 巻 p. 119-124
北海道東部に位置する常呂川水系無加川上流域では,2016年8月出水時に表層砂礫が一掃され,下層に存在していた侵食抵抗の小さい軟岩(火山灰層)が広範囲にわたり露出して急激な河床低下が生じ,橋梁の架け替えに至った.一方,岩盤露出区間より上流側は主に砂礫床であり,土砂供給の要因である河岸侵食が散見された.最上流には砂防ダムが存在するが,満砂状態となっており,その直下流では河床低下は生じていない.また,下流域では河床低下対策が実施されており,近年土砂堆積が進んでいる.以上から,最上流域には下流へ供給される砂礫が十分存在し,下流域では砂礫が堆積する一方で,堆積せず露岩拡大が生じている区間が存在する.地質状況より,無加川と並行して流れ,河床低下の生じていない常呂川上流域には安山岩,無加川上流域には一般的に強度の劣る凝灰岩が主に分布し,土砂生産源の質が異なる.本研究では,河床材料の質の違いによる土砂輸送の実態を明らかにし,適切な土砂管理のためには,上流から供給される礫の強度の把握も重要な事項であることを示した.