2024 年 30 巻 p. 137-142
長崎豪雨災害を契機に計画された長崎水害緊急ダム建設事業の経過とこれまでの事業による治水効果を報告するとともに,浦上ダム再生に係る実施方法の課題と対策について述べ,考察を試みた.検討を通じて,浦上ダムのように利水容量の振り替えが困難な場合には,ダムの貯水位を維持した状態での実施方法を含めて,水質予測等を踏まえた比較設計が必要となるとともに,水位を下げずに再生を進める場合にはコスト増となる可能性が確認された.成果として,浦上ダム再生の実施方法については,事業条件の変化に対応した検討プロセスやDXを駆使した地元調整の取組みを示すことで,本事業全体の完了への道筋が見えてきており,各地で頻発する豪雨災害に備えた中小規模のダム再生の事業化の一助になればと考える.