2024 年 30 巻 p. 143-148
大規模洪水の被害軽減や水力発電の有効活用を実現するため,降雨予測を利用しながら,予測が外れた際の損失を小さくしてダム操作を高度化することが期待されている.本研究では,リアルタイムの情報であるアンサンブル降雨予測を利用して,洪水が発生するまでに複数回にわたって事前放流と洪水調節操作の最適化を行い,治水・利水双方にメリットがあるダム操作手法について検討した.全てのアンサンブルメンバーに対してダムの最大放流量を最小化する最適化計算を行ったところ,流入量の予測精度が高いメンバーが,ダムの最大放流量を大きく低減するとともに,減電の原因となる発電所の無効放流も低減した.また,洪水調節操作の最適化に事前放流を組み合わせることで,ダムの最大放流量と発電所の無効放流量がさらに低減され,治水・利水双方にメリットがあるダム操作を行うことができた.