2024 年 30 巻 p. 149-154
近年,頻発する豪雨等の気象現象に対応するために,長時間アンサンブル降雨予測(以下「アンサンブル予測」)を活用したダムの防災操作に係る議論が高まっている1)~2).
本検討ではこれら議論の一環として,アンサンブル予測を用いた新たなダム運用のルールを策定することにより,発電量の増加や管理運用に係るメリットを創出することが可能であるかの検討を行った.具体的には,アンサンブル予測を用いた貯水位運用を実施することで,貯水位をこれまでより高く維持しつつ,長期的な雨が予測されたタイミングで,出水前には洪水貯留準備水位(以下「制限水位」)以下に水位低下する操作ルールの条件を守ることが可能であること,さらに,水位維持により得られた水量を発電放流で水位低下させることで発電量を増加できる可能性を示した.これらの操作は,アンサンブル予測を用いることで,ダムの水位低下に係る放流に係る操作の負担軽減と,ダム下流における利用者の安全確保向上にも繋がるものであり,社会実装として実現可能なものと考えられる.