2024 年 30 巻 p. 173-178
河道等の整備が進んでいる今日でも全国各地で破堤による被害が多発しており,気候変動の影響により洪水被害がさらに頻発化・激甚化することが懸念されている.このような状況を踏まえ,国土交通省は河川の流域のあらゆる関係者が協働して流域全体で行う治水対策である「流域治水」を進めていくこととした.氾濫域の水害リスク評価のために重要となる氾濫流量を精度良く推定するには,破堤口幅の見積もりが重要となる.現在,破堤口幅は過去の破堤事例をもとに川幅と関連付けた経験式から設定されているが,近年の多発する破堤災害で観察された破堤口幅が経験式と大きく異なる事例も散見される.本報告では破堤口幅に影響を与える支配的要素を明らかにすることを目的に,越水破堤事例および破堤実験をもとに,破堤口幅のほか,河道や堤体,水理学的指標を収集し整理を行った.これより川幅のみで破堤口幅を評価することが難しいこと,また破堤口幅には特に水理学的な指標が影響を与えることを示した.