2024 年 30 巻 p. 179-184
線状降水帯に伴う豪雨災害が激甚化・頻発化しており,水災害の増加が懸念されている.破堤の86%は越水が主要因と報告されており,越水しても破堤までの時間を少しでも長くする「粘り強い河川堤防」が求められている.国土交通省は,前記の技術開発目標として,越流水深0.3 m,越流時間3時間を提示している.また,これまでの破堤事例から越流流速3 m/s未満の場合は破堤しないことも報告されている.以上より,本論文では越流水深0.3 m,越流時間3時間に加えて,越流流速3 m/s超の越流水に対し,実規模大の越水実験において,水路内に敷設した2タイプの破砕貝殻層の侵食抑制効果を検証した.その結果,シェルネット型の破砕貝殻層は前記3条件の越流水に対して侵食抑制効果を発揮することを明らかにした.