2024 年 30 巻 p. 543-548
長期的な変動成分を持つ山体の岩盤内地下水は,山体が貯留・排水する雨水の量に関連するため,降雨 に対する流出特性を変化させる可能性があるが,降雨-流出解析における先行降雨の期間は一般に短く, 岩盤内地下水位変動は十分に考慮されないことが多い.本研究では,岩盤内地下水位に着目して降雨時の山体からの河川流入を検討し,その相互作用の関係を明らかにすることを目的とし,2021年と2022年の二級ダム(黒瀬川)への流入量について,観測値と降雨流出解析による計算値を比較・考察した.その結果これらには明確な特徴の差がみられ,降雨流出解析には降雨の空間分布だけでなく降雨の履歴を長期に受ける岩盤内地下水位変動も考慮する必要があることを示した.これは平地部の都市化だけでなく,山地部のトンネルなどの開発や将来の長期的な降雨特性の変化が岩盤内地下水位の変化を介して,流域の降雨流出特性に変化を与える可能性があることを示唆しており,今後の流域治水において重要であると考えられた.