2024 年 30 巻 p. 71-76
宮崎県耳川水系では,2005年台風14号による未曾有の災害を契機に,河川管理者である宮崎県が,耳川水系総合土砂管理計画を2011年10月に策定した.耳川水系内にダムと発電所を有する九州電力㈱は,耳川水系総合土砂管理計画の中核的な事業として,ダム通砂(上流からダムに流れ込む土砂をダム下流に通過させる試み)を実施している.ダム通砂は,ダム下流の河床材料の粒度組成が変化し,生物の生息場の変化につながることが想定される.通砂の影響や効果を把握することは,今後の総合土砂管理を検討する上で有益となる.本研究では,環境改善が期待されるアユ産卵環境に着目し,現地調査データから産卵ポテンシャル予測モデルを構築し,物理環境条件からそのポテンシャルを推定し,ダム通砂によるアユ産卵環境への影響や効果を推定した.その結果,ダムに近い上流側からアユ産卵環境の改善が進んでいると推定された.